英語を克服し、海外インターンから学んだこと【後編】

前編では、アメリカ留学の挫折から、一橋大学に入学し、シンガポールへのインターンも兼ねた留学の道を選んだお話をしていただきました。後編では実際にシンガポールにて経験したことに迫ります。

 

商学部4年 名東悠宇さん

 

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発言しなければノーバリュー

――川野:「ざっくりした質問なんだけど、留学どんな感じだったんですか(笑)?」

 

名東さん僕の留学は簡単に言うと、理論・実践・観察のサイクルを回した留学でした。理論面ではシンガポール経営大学での勉強、実践面ではインターンシップ、観察面では東南アジア諸国への旅行や、日々の生活ですね。

 

――川野:「じゃあ理論面から話を聞いていきましょう。シンガポール経営大学で何を学んだか教えてください!」

 

名東さん「実践のインターンシップがオペレーションやマーケティングだったので、それに近いことを理論として勉強するようにしていました。

具体的に言うと、CRM(注:カスタマーリレーションシップマネジメント=顧客満足度と顧客ロイヤルティの向上を通して、売上の拡大と収益性の向上を目指す経営戦略)やソーシャルメディアストラテジーという授業を取っていましたね。」

 

――川野:「CRMっていうのはいかに顧客との関係を築いて売上や収益につなげるのか。ソーシャルメディアストラテジーは、SNSとかの戦略ってことかな。自分は海外の大学に留学したことがないからよく分からないんだけど、実際に一橋の授業と比べて何か違いがあるんですかね?あ、もちろん英語で行われているという点以外で。」

 

名東さん「本だとレクチャースタイルなのが、向こうだと少人数でレクチャーもグループワーク型なんですよね。」

 

――川野:「テレビとかで見たことあるからなんとなく想像できますね。でも実際、グループワーク型であることで、日本で学ぶのと何か大きな違いとかあるんですかね?」

 

名東さん「よく言われるように発言しないとやっていけません。日本ではそういうことはないですよね。でも向こうだと、発言していない人間はノーバリューで存在している意味自体がないように扱われます。僕も最初の1、2ヵ月はシンガポールの訛りの英語についていけず、ほんとにきつかったです。

それでも必死にやっていると3ヵ月目ぐらいからはなんとかついていけるようになりました。あと、向こうの学生は小さいときから発言を求められている分、能動的かつ論理的に物事を考えるのが得意だなと思いました。」

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リロン→ジッセン、ジッセン→リロン??

――川野:「では実践面のインターンでは何をされていたんですか?」

 

名東さん「国内外でコンサルティングサービスを提供している傍ら、自社事業も持っているユニークな会社でインターンをしていました。僕はその中でも自社飲食事業の海鮮丼店を担当していました。その中で売上の管理等のオペレーションや、マーケティング・PR施策を実行していました。」

 

――川野:「普段飲食店でバイトをすることはあっても、内部のオペレーション改善やマーケティング施策を打つことはないですもんね。面白そうですね。実際自分が行った施策とかでインパクトの大きかったものってありますか?」

 

名東さん「うちの店舗で一番人気の海鮮丼セットメニューを変えて、売上をあげるだけでなく、働く店長のモチベーションまであげられたことですかね。元々の海鮮丼セットメニューは海鮮丼に加えて、4種類のうちからトッピングを1つ選び、HOTかCOLDのドリンクを選べるというメニューでした。でもこのメニューが店の売上があがらないかなり大きな要因であると思って。そこでマンスリープロモーションというものを打ち出しました。

これは、従来の4つのトッピングを月ごとに1つに絞って、毎月変えていくというものです。ドリンクも缶のものに変えて1種類に絞りました。これによってオペレーションが改善されて、回転率が上がることにより、店の売上があがったんですよね。また月に1つのトッピングを店長自らが考え、実際に実行することで、このトッピングはウケるとかこれはダメとかのPDCAが回り、意思決定のサイクルがはやくなったことで、店長のモチベーションもあがっていきました。」

 

――川野:「なるほど。選べる品種を少なくしたことで、オペレーションコストも改善されるし、次々に顧客を対応できて、売上があがったんですね。しかもこのメニューが一番人気メニューだったのもミソみたい。これはオペレーションの話だと思うんですが、マーケティング面では何をされたんですか?」

 

名東さん「新たな店舗をオープンしたときの話なんですが、お客様が海鮮丼の具材を自分で選べる新しいコンセプトで、食事自体はおいしいし、質が悪いわけではないのに、売上が上がらない時期がありました。問題は新店舗の認知度だという話になり、僕は店舗周りでうちわを配り、店舗の見せ方を工夫する施策を考えたんですが、ここでシンガポール人の女の子がSNSを使ったインフルエンサーマーケティング施策を考えついたんです。

シンガポールの特徴として、テレビなどのマスメディアにあまり力がなく、SNS上のインフルエンサーに力があるんです。そこでインフルエンサーに海鮮丼を紹介してもらい、これによりSNS上でうまく波及していき、認知度が莫大にあがりました。収益は3倍とかになりましたね。これもシンガポールならではなんですが、国土が狭いからか一度広まるとしばらくの間はリピート率が高止まりするんですよ。」

 

――川野:「売上爆上げですね(笑)。ちなみにシンガポール経営大学で学んだ理論はどのようにインターンに活かされたんですか?」

 

名東さん「実はシンガポールは結構特徴がある国で、自分が知っている理論やケースをそのまま転用するだけではなかなかうまくいかないことが多かったんです。でもシンガポール人の女の子がインフルエンサーマーケティング施策を提案したように、シンガポールの特徴を捉えれば、こういうことができるよということを実践を通じて間近に見て取ることによって、逆に観察・実践を通じて、理論の理解が徐々に深まっていく感じでした。

よく理論と実践の往復が大事って言われるけど、理論から実践への応用ではなく、実践や観察から理論が身につくこともあることが身をもって理解できたのは大きな経験でしたね。

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またいつかは同じ地に…?

――川野:「ではシンガポールから帰国した名東さんが、今後挑戦されたいことは何ですか?」

 

名東さん実際にその業界で働いている人が持っている知識に比べて、学校で勉強した知識は些細なものだということをインターンを通じて学びました。だから実際に仕事を経験してPDCAを回していく中で学んでいきながら成長していきたいと思っています。

企業に就職して色々学び、知識や専門性を身に着けたいですね。興味の領域が広いのでどの分野というのはまだ決めていないですが、シンガポールの経験によって、特定の拠点を持ち、その拠点がある国、地域に密着しながら、その国、地域の特色をうまく活かしてビジネスを行うのも面白いなと思います。またいつかはシンガポールに戻りたいな。」

 

――川野:「最後に、一橋生に向けてメッセージをお願いします!」

 

名東さん「先ほども話しましたが、海外の大学では積極的な発言が求められ、発言をしない人はノーバリューです。海外に留学したいと思っている人も結構いると思います。その準備として、英語の勉強はもちろんのこと、授業やゼミでしっかりと自分の考えを発言する練習をしておいたほうがいいのではないかと思います。

あと、自分の場合は習ってきた理論をインターンで実践することだったんですが、ただただ留学に行くのではなく、何らかの目的を持って留学に行くべきです。」