「世界のために働きたい」シリコンバレーで活躍する一橋生【後編】

今回インタビューに応じてくださったのは一橋大学法学部卒の筒井鉄平さん。ファーストキャリアを商社で過ごし、30代前半でMBAを取得、投資銀行で活躍するとともに、アメリカでNPOの立ち上げも経験し、現在は株式会社グリーでアメリカ現地の投資チームとして活躍している。

アメリカでMBAを取得したのち、米ベンチャーで働きたいという希望はどうなったのか。キャリアの分岐点で下した決断とは。各産業のフロンティアで活躍し続ける筒井さんが見てきた、世界のビジネスシーンの実際と、今後待ち受ける変化を一橋生に提示する。

前編ではいとこの影響で憧れた「宇宙飛行士」は、キャリアパスの長さから断念して文転。アイオワへの留学の経験から、世界のために働きたいと考えて「国連職員」を目指しますが、さらに大きなダイナミズムが期待できる民間の「総合商社」への就職を決めた筒井さんのお話を伺った。

筒井さんのキャリア”30年プラン”の初めの10年は、商社から「MBAの取得」で集大成を迎えます。

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キャリアの”30年プラン”は続く

ー”30年プラン”のうちはじめの10年はインプットに充てるということでしたが、商社ではそれは達成されたのでしょうか?

かなり達成されたと思います。社会人の基礎的なところは学びましたし、英語力やインターナショナルなチームでの働き方も学びました。働く相手は韓国・中国・インドなど海外だったため、意思疎通をどうするかとか、動いてもらうためのインセンティブをいかに用意するかとか、それぞれの国でのやり方があることなんかも学びました。

 

ー商社を7年間勤めた後は、何をされたんですか?
私費でシカゴ大学でMBAをとりました。結局、商社ではOJT(On the Job Traning)だったため、一度経験したことはできるようになりましたが、ファイナンスやマーケティングなどやったことのないことも一通り体系的に学びたいと思っていました。民間に来たからには学ぶべきこと学びたいと思っていて、”30年プラン”の最初の10年のうち、MBAはインプットの大成という位置付けでした。MBAをとったら、アメリカのベンチャーに行きたいと思っていました。

 

ー海外でMBAをとって、いよいよ”30年プラン”の2ステージ目、アウトプットの段階に入るのですね。米ベンチャーへの就職を決めたのですか?

いえ、しませんでした。単純に出来なかったのです。大きくはビザの問題もありましたが、結局は商社で学んだ7年で、ベンチャーでは活かせるものはほとんどないとも感じました。つまり、自分には実用的ななスキルセットがなかったのです。

そこで教授などに相談したところ、ファイナンスの分野であれば、ベンチャーでも必ず必要になると聞きました。ベンチャーでは、資金調達、IPO(新規株式公開)、売却とCFO(財務に関する最高責任者)的なファイナンスができる人は不可欠ですから。そこで、外資系の投資銀行に就職しました。

 

ー米ベンチャーに勤めるプランから、投資銀行への就職へシフト。ここでは何年間務めたのですか?

最初は1年で辞める予定だったんですが、ちゃんと仕事ができることを証明する意味もあって(笑)、3年間勤め上げました。最後の1年はIT分野での仕事に多く関わって、現在在籍するグリーとも一緒に仕事をしました。企業の買収などの案件を通して、当初から身に付けたいと思っていたコーポレートファイナンスのスキルが、身についたのは大きな収穫でした。

 

ーさて、筒井さんはこの後グリーに転職します。どういった経緯があったのでしょうか?

やっぱりベンチャーに行きたかったんです。転職の際は、IT企業のスピード感、業界の変動の早さやグローバルで働ける点に魅力を感じていました。グリーの他にも国内の有名ベンチャーや、日本市場に参入している外資企業からも、マネジメントポジションのオファーを色々いただきました。

そんな中、MBA時代に自分が立ち上げていたSNSサービスについて、グリーの田中社長からアドバイスをもらっていたことがきっかけになりました。経営者のことをよく知っていたことは大きかったです。

 

ーグリーではどのように働きましたか?

海外展開の手伝いが出来ればと思って入社しました。ベンチャー企業だったので色々経験しました。グローバルなプラットフォームを立ち上げるということでプロジェクトマネジメントをしたり、海外企業の買収をしたり、経営企画、経理もやりました。ここサンフランシスコには去年から来ました。新しいことをやりたい、海外に行きたいと社内を回ってたら、行っていいよって言われたんです(笑)。

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「この業界にいると、『一橋生は個性的だよね』って言われる」

ー筒井さんはいつも意志や目的を持って、キャリアの次のステージに進んでいるように見えます。ベンチャー企業に興味を持ったのはなぜですか?

新しいことを生み出す、ゼロからイチを作るって楽しいじゃないですか。ビジネススクールにいた時とかは特に、将来起業したいと思っていました。現に、自分がアメリカでサービスを立ち上げたのもとても面白かったです。

ただその時は、マーケットが小さいビジネスだったから、何年やっても爆発的に伸びるものではないと思い、NPOにしましたが。それから、高校時代からそうでしたが、新しい環境に身を置いてチャレンジするのが好きでした。

 

ー常に各産業の最前線にいるようなキャリアですが、キャリア選びの軸のようなものは意識していましたか?

大学時代、国連に行くか民間に行くかで、民間を選びました。その時点で、大企業でインプットのために業界トップ企業に行こうと、それから英語を使えるところに行こうと思いました。

加えて僕の場合は、他人と同じことをするのは嫌いでした。今も、常に上司のような存在がいるわけではなく、会社の名前のもとではありますが、まさに自分で起業をしているに近いような感覚です。やりたいことをやれていて、本当に楽しいです。

 

ー筒井さんが今やっていらっしゃるのはVR(仮想現実)を対象にした投資です。なぜVRという分野を選んだんですか?

未来だなと思ったからです。言葉にするのは難しいですがとにかくワクワクするんです。VRが次世代のプラットフォームになることは間違いなくて、VRについて聞けば聞くほど、見れば見るほど、未来の世界だなって想像できました。

 

例えば君たちがサンフランシスコを旅したりしても、グラスかけて歩けば、「ピア39のホテルが建っている」とか「AT&Tパークがある」とかそこにある建物がグラス越しに分かって、音声での案内とかもされて、自分が何か言葉を発すれば、日本語で発しながらも英語で発信されていたりして。まさに未来だなと思いました。今はその未来の実現が加速されるように、と取り組んでいます。会社としても、新たなプラットフォームの到来に合わせ、移行を成功させたいと思っています。

 

ー筒井さんは去年からサンフランシスコで働き始めたということですが、日本(の学生)に対して思うところはありますか?

もうすでに色々なところで語り尽くされていますけど、ちっちゃな島国で内向きに閉じこもるのはまずいと思いました。例えばオランダって、大学生の半分が国外で就職するんですよ。それは国内に大きな会社が少なくて職がないからなのですが、もしかしたらいつか何十年か先に日本にも似たような状況が来るかもしれない。

 

オランダの大学生は卒業の時はみな3~4ヶ国語くらい話せるんですよ。変に意識しなくてもいいのかもしれないけど、もう少しフラットに世界を意識できるような環境になればいいと思います。イメージはまさに自分が留学で行ったオランダですね。

 

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最前線で見られる働き方の変化

ーITの最前線であるサンフランシスコで見られる、大きな時代の流れはありますか?

この辺で多く見られるのはフリーランス化です。1人でコンサルタントをやっている人も多く、今でも企業の労働力の3割くらいはフリーの人だと思います。日本でも同じトレンドが起こるとは限りませんが、ある意味一人で生きていけるスキルを身につけないといけない時代なのだと思います。

それから、進んだテクノロジーへの意欲も感じます。例えば、自動車業界もUBERのようなIT企業によってガラッと変わろうとしています。日本にもカーメーカーは沢山ありますが、古い産業で数に物を言わせて勝つ時代から変わってきているのだと思います。若い世代が発想力とかで勝てる世界になってきました。特にIT業界はそういうことがしやすい分野です。大学生で起業している人も多く、投資先にもそういった企業もあります。

 

ーインタビューもクライマックスです。素晴らしい時間をありがとうございました。最後に、一橋生に向けてメッセージをお願いします。

一橋生って面白い人もたくさんいますよね。この業界にいると、「一橋生は個性的だよね」って言われることが多いです。中にはテクニックに長けていて、誰かが作ったルールに従って、既存の評価制度で褒められるのが得意な人も多いかもしれません。でも、一人一人個性があるんですから、ルールをぶち壊して敷き直すことができる人生も楽しいかもしれません。

もし個性を隠して、押し殺して走ってる人がいるならば、一度立ち止まって、本当に自分がやりたいことしようと伝えたいです。やりたいことが見えないうちは、いろんな物事をやってみたり、いろんな人に会うことが良いです。

自分も、ラクロス部の友達に無理を言ってオランダに行かせてもらったり、インターンに行ったり、大学でも他の大学の学生と留学支援の団体で活動して、一橋外で色々なキャリアの人に会ったりしていました。何らかのアクションを起こせば、その過程が自分のやりたいことを実現するプロセスになってゆきますから。とにかくアクションを起こすことですね!

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こうして、筒井さんとの熱く濃密なランチタイム in サンフランシスコは幕を閉じた。

「何らかのアクションを起こせば、その過程が自分のやりたいことを実現するプロセスになっていきます」確かに、やったことが次のステージに連なってゆく筒井さんのキャリアが、この言葉の裏にはある。

一橋生の誰もが、国立の内外で積極的にアクションをとってゆく時代が到来して欲しい。
このメディアが、ロールモデルとなるようなOBOGや、自らの本当にやりたいことに挑戦している現役一橋生、我々を取り巻く世界の変化を発信し続けることで、その一助になれたら幸いだ。

「そうは言っても何をやったら良いかわからない」というならば、新たな視点を入れてみてはどうだろうか?。自分の頭の中だけで解決するよりもより良い答えが見つかるかも知れない。

相談相手としては、キャリアや仕事について人一倍考え抜いてきた人が良いだろう。

キャリアや仕事について人一倍考え抜いてきた、一橋の先輩がキャリア面談を行う『HITPORTのキャリア面談』、冬学期も随時受付中だ。フラットに話を聞いてくれる、心強い先輩が待っているから、いつでも連絡してほしい。

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