「世界を見て、“ぶっとぶ”経験を一橋生にはしてほしい」

一橋大学イノベーション研究センターで教鞭をとるかたわら、アフリカのプレトリア大学日本研究センターの顧問や「日本元気塾」の塾長も務めるなど、学外の活動にも精力的に力を注がれている米倉誠一郎先生。12/14に行なわれるHITPORTが主催するイベント「Hitotsubashi Innovators’ Summit 2016」では、モデレーターをお務め頂きます。

後編では、米倉先生のアメリカハーバード大学での留学経験と、そこでの「外にはすげぇやつがいるんだ」という自身のぶっとんだ経験、そして最後に先生から一橋生へのメッセージをお伝えします。

前編はこちら

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米倉誠一郎氏
一橋大学イノベーション研究センター 教授
プレトリア大学日本研究センター 顧問
専攻は、イノベーションを中心とした企業の戦略や組織の歴史的研究。近年は、BOPとソーシャル・ビジネスや社会企業家の役割にも高い関心を払っている。

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ハーバードでの留学生活は、どうでしたか?

まず、日本にいたときに、経営史のアルフレッド・チャンドラー先生(※経営史という研究分野を築き上げた、いわば経営史の父)の本の翻訳版を読んだことがありました。だからチャンドラー先生のゼミに入りました。それでビジネススクールに出向いて、チャンドラー先生の授業を取ったら、最初の授業でこんな量の本渡されたんだよ(50cmほどの長さを手で作る米倉先生)。「あぁ、これを1セメスターで読むんだな。楽勝!」と思ったら「来週まで」って(取材陣 驚き)。そこから本の序章と結論だけ読んでレポートを書くという素晴らしい特技を身に着けたんだ(一同 笑い)。

そのあと2年間のコースワークを終えて、帰っていいよというから日本に帰って日本の鉄鋼業の研究をしてた。でもそのときはバブル絶頂期で、企業研修とか教科書書いたりとかそういうことやってて、あまりちゃんとした研究をやってなかった(一同 笑い)。

そしたら当時の一條君(※現 一橋大学大学院国際企業戦略研究科 研究科長)が昔の僕みたいに「米倉さんみたいに、アメリカでPhD取りたい」と、榊原先生(元一橋大学商学部教授 現中央大学ビジネススクール教授)に相談したらしい。そしたら、「お前、米倉みたいになっちゃうぜ?」って言ったらしいんだよ(一同 笑い)。

その話を聞いて「いかん!」と思ってアメリカに帰って、本気を出した。あのときの4カ月はすごかったね。こういう風にベッドの横にPCが置いてあって、眠くなったらこうやって横になって(先生横になる)、パンでも食べてまた書いてって(一同笑い)。

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実際の様子を再現してくださる、チャーミングな米倉先生

アメリカに留学されて、ご自身で何か変わりましたか?

それはもう、変わったよ。あんなに辛いことができたんだから、できないことない!ってね。あとは、世界は広いじゃんと。日本にこだわる必要なんて全くないじゃん、って思ったね。世界中からすごい学生がいっぱい来てるし。辛い勉強もいっぱいしたし。だけど、ここで話は終わらないんだよ。

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シリコンバレーでのぶっとび経験

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92年だったかな、当時噂では聞いてたんだけど、どうやらシリコンバレーってとこはすごいらしいと。当時のハーバードは、卒業したら将来GEとかIBMとかに入る、東のエスタブリッシュメントの頂点。そこに殴り込みをかけたのがスタンフォードをはじめとする西海岸勢だった。当時、サクソニアンって人が『二都物語』っていう本を出して、ボストンとシリコンバレーを比べたら、シリコンバレーのほうが全然すごい!と書いてある。それでシリコンバレーに行ってみたら……もう、ぶっとんだね。

80年代はハーバードのエズラ・ボーゲル先生が「Japan as No.1」という本を書いて、日本的経営のブームがきていた。したがって、アメリカでも「日本のこと教えてくれ」と言われるから、日本ってやっぱりすごいなと思ってシリコンバレーに行ったら、全く違うゲームが始まっていた。インターネットにPC

あるインキュベーションに行ったら、「今日は素晴らしい企業家を紹介するよ」と。こっちはネクタイして3人で行ったら、半パンにTシャツ着てる変な青年が近くにいてさ、なんだこいつと思ったら、そいつがその企業家。もうビックリして。

そして彼の話がデカいんだよ。サーバー使ってこうこうこうしてとか、100億動かすビジネスをやるんだ!とか。そしたら一緒に来てた先生が、みんな聞きたいけど恥ずかしくて聞けない質問をしてくれた。「失敗したらどうすんの?」って。そしたら彼はこう言ったんだ、「失敗?もう3回したから絶対大丈夫!」これでもう、俺はぶっとんだよ。「え~?こんなゲームやったら日本は勝てっこねぇじゃないか!」って。

あと、ぶっとんだ経験でいったら、僕がやっている「日本元気塾」で一度、グラミン銀行のユヌスさんと対談することがあったんだけど、あの人はぶっとんでるね。話してると、身体が勝手に熱くなるんだよ。「なんかやらなきゃダメだ!」って。すごいよね。

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きっとそういった「ぶっとんだ経験」が、先生が今国立以外でも精力的に活動されている原体験なのかもしれないですね。留学と関連して、今の一橋生に「もっとこうしたらいいのに」と思うことはありますか?

学部生には、せっかく如水留学がこんなに整っているんだから、どんどん活用して留学に行ってほしい。全員留学を目指した山内元学長は辞められてしまったけど、やはり個人的には多くの学生に学部生のうちに留学してほしい。

欧米志向が強いのかもしれないけど、個人的にはインド、南アフリカ、インドネシア、バングラデシュとか、そっちの大学がこれから面白いと思う。これから伸びていく国とか大学に行って、一緒に勉強して仲間を増やす。たとえば、今の世界の大学では、ネイティブスピーカーじゃない人が英語で授業するのが潮流。一橋だって、たとえばインド工科大学のPhD取得者に、英語でそのまま一年生の概論を教えさせたっていいと思う。訛りのあるノンネイティブの人と英語でディベートする力。そういうのが大事。

私自身も如水留学でオーストラリアに行ったのですが、中国人の先生がネイティブの学生相手に英語でゼミや講義をしていたのが、もの凄く印象的でした。よく聞く言葉ですが、「英語はツールでしかない」という言葉を、改めて強く実感した瞬間でした。

そうだね。だから一橋生にはもっと外に出ていって、色々「ぶっとぶ」経験を、もっともっとしてほしい。もちろん、安全は大事だから、うまく計画を立てて留学してほしい。また、大学4年生で一生のすべてを決めるという考え方から、45年面白そうなところで働いて、大学院をうまく利用してやりたいことを決めていくような人生設計を考えてほしいと思う。

本日はどうも、ありがとうございました!


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米倉先生の、情熱と経験、そしてウィットに富んだお話は、ぜひ多くの一橋生に生でも聞いてほしい。改めてそう強く思わせられる、本当に濃い一時間となりました。

そんな米倉先生と、一橋を卒業した一流経営者の対談も行なわれる大講演会「Hitotsubashi Innovators’ Summit 2016」は、残り2週間強と迫った12/14 17:00~19:30に開催!

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