AIに負けないキャリア選択〜海外、ベンチャー、テクノロジー〜

監査法人トーマツを経て、シリコンバレーでベンチャー企業の支援事業に乗り出した木村将之さん。日本とアメリカのキャリア選択の違いとは?テクノロジーの進化によって変わりゆく文系学生の生き方とは?後編では、キャリアの側面から木村さんの考えに迫ります。

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TOEIC400点、だけど海外事業立ち上げ

—木村さんは、何がきっかけで海外に目を向けるようになったんですか?

2007年に監査法人トーマツに入社して、2010年から休眠していたトーマツベンチャーサポートを立ち上げ、2012年くらいから結構海外に行くようになったんです。ベンチャーを支援している過程で、彼らが成長のためにシリコンバレーやASEANに進出しようという話がかなりあって。企業の成長を応援している僕たちがそこで貢献できないのは話にならないよね、ということで、海外に行き始めましたね。海外の市場を目の当たりにしたときは衝撃を受けました。『これまでとは全く違うスケールでビジネスを展開できる可能性がある』と。取り残されちゃいけないという危機感も強く持ちました。なので、2014年からトーマツベンチャーサポートとして海外事業を立ち上げ、展開するっていうことになりました。当時TOEIC400点だったんですけどね(笑)

 

—え!?!?!?(笑)

自分が海外事業を立ち上げて展開するって言いましたね。

 

—海外に出て、このままじゃまずい、スケールが違う!と感じたのはどういったところですか?

世界各地で違うんですが、ASEANでは新興国の熱気、成長性を感じました。ひたすら新しい建物が凄い勢いで建設されていって、都市部には人が溢れかえっている。そこの成長性を取り込むのは絶対だなと。ヨーロッパとかアメリカは、イノベーションを起こす方法を地域ぐるみでやっている感じがしましたね。例えばロンドンでは、政府がTechCity構想を掲げ、1000以上のベンチャーを集積させ、企業がしやすい環境を整えていました。ロンドンは、元々強みを持つ、金融やメディア産業での起業を盛り上げて、そこに大企業と政府が絡み、ベンチャーの力も使いながら地域ぐるみでベンチャーと大企業が協業するエコシステムを創ろうとしていました。そういうところでは、多くのベンチャーが生まれます。大企業にとって、マーケットももちろんですが、最先端の技術をいち早く取り込んでいくっていう意味でも、グローバル展開はやはり必要だと感じました。

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ベンチャーに行くってリスクなの?

 

—アメリカでは良い大学の一番優秀な人が起業して、その次に優秀な人がベンチャーにジョインして、最後に大企業に行くっていう話を聞いたのですが、ベンチャーの人気って実際どうですか?

僕のイメージでは一番優秀…まぁ、クレイジーな人が起業していて、その次が、Google・Facebookをはじめとするテックジャイアント。それがだめだと大企業っていう感じですね。

 

—日本だと多くの学生が名の知れた大企業に行きたがる傾向がありますが、なんでアメリカではベンチャーがそんなに人気なのでしょうか?

雇用の流動性です。米国では、2・3年でレジュメが変わるのが当たり前ですし、ベンチャーから大企業、もしくは大企業からベンチャーっていう両方向の移動があり得るので。日本の場合、一度ベンチャーに行ったら大企業に行くってことはほとんどないですからね。例がないわけではないんですが、バイアウトがうまく成功した場合だけ大企業に行けるという感じです。それなら安全な大企業を選ぼうという発想になり、大企業に勤めたらほとんどの方が同じ会社でキャリアを終える事になります。シリコンバレーでは、いつでも大企業には行けるので、まずは勝負しようという発想になりやすいです。雇用の流動性が更に、イノベーションを起こしやすくしている側面もあります。イノベーションは、違うアイディア、専門知識の掛け合わせで生まれますから、色んなバックグラウンドの人の交わりによって色々な考え方が掛け合わされるシリコンバレーの環境だとイノベーションが起こりやすいんです。

 

—そうするとやっぱり、アメリカの方がベンチャーにいくリスクは少ないってことですか?

リスクは少ないですね。経済的なリターンも一発あてれば大きいですし。

 

—では日本の構造上、ベンチャーがあまり学生に人気じゃないのも頷けるということですね。

これは一気に解決できる問題ではありませんが、早めのラウンドのベンチャーに対してバリエーションがちゃんとついてきて資金調達もちゃんと行われるようになったのはすごい良いことで、ここからどんどん成功事例を生んでいく必要があります。大型の資金調達をしたベンチャーがグローバルに進出して数百億円の時価総額で企業売却して、ミリオネアが何人も生まれまれる。その成功事例を見て皆がベンチャーに憧れる。又、成功した人たちがエンジェルになって、ベンチャーが更に育成されるという循環が生まれると良いですね。

 

好きなことを見つけるためには

 

—一橋生に今後キャリア選びとして、何かアドバイスはありますか?

どういうキャリアを選んでも良いと思うんですけど、自分が何をしたいかっていうのは常につきまとってくる問いなので、その時に思い切って動いて欲しいです。日本だと、コンプライアンス上真面目にやっていれば食べられなくなることはおそらくないと思いますし(笑)。自分のやりたいことやってた方が寝る時間も忘れて仕事できますし、熱中できますし。すごい充足感もあるし、仕事をする期間って人生のうちの間違いなく相当な時間を費やすって考えると、その時間を好きなことやって欲しいなっていうのはありますね。自分はすごく好きなことをやっているのですごいハッピーですし。

 

—僕が見ていて思うのは、好きなことまだ見つけてない人が多いってことなのですが、そういった人に、見つけ方のアドバイスをお願いします。

2つあって、1つは過去を振り返って、こんな経験をしたから今の自分がありますっていうのを見つけること。意外と自分の事って分からないので。僕たちもよく人生のマップを描いて、昔こういうことがあってこう感じたから実はこれがやりたい事なんじゃないかって考えたりします。もう1つは、もし分からなかったら、目の前のことをひたすらのめり込んでやるという事。自分も、初めやっていたものから課題を見つけて、次の課題、次の課題という風にずっと仕事にのめり込んでやって来ました。ベンチャー支援をやっていた中で、ベンチャーと大企業とのコラボレーションの必要性に気づき、その中で、海外展開という課題に気づき、今では挑戦する人を応援する事によって、イノベーションが生まれないという課題を解決をしていきたいと考えています。皆さんにも是非課題解決の実行者として仕事に取り組んで欲しいです!

 

—企業側もそういう人を好みますよね(笑)

何かをやり切れる人は、どんな環境でもやっていけるんですよね。だからそこがベースかな。好きなものをいきなり見つけるのってすごく難しいと思うので、焦る必要はないと思います。ただ、そのときに目の前のものを徹底的にやり抜くっていうのと、選択肢がぽんと出てきたときに思い切ってやってみること。

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テクノロジーの発展と文系学生

 

—ビジネスの世界で活躍したいって一橋生の多くは思っているので、キャリア選びの中で考えておくべき世の中の潮流とか、変化などを解説してください。

今一番議論が上がるのは、ロボットですね。ロボット・AIが入ってきたときに、その仕事ほんとにやりますかっていうのが大事で。たとえば、軽作業とか単純作業の部分はほとんど置き換わります。他には、金融でもフィンテックといわれる自動計算アルゴリズム等を活用したテクノロジーがどんどん出てきていているので、相当難しくなっていくと思います。

 

—一橋生って結構就職難易度の高いところ、つまりホワイトカラーの職に就くのがほとんどだと思うんですよ。そういう職の中でもロボットに代替されないのはどういう部分だと思いますか?

代替されやすいのはやっぱりルーティンワークや単純作業です。そうなったときに残るものを自分の中でみつけるっていうのはすごい大事です。感性が絡む仕事、交渉事、今までに無かった新しい何かを生み出す仕事は残ると言われていますよね。これは、あまり言われていないですが、異業種の経験をいっぱいしている人は、有利なんじゃないでしょうか。

 

—どの点において有利なんですか?

キャリアの考え方ってグーグル検索と同じだと思っていて。◯◯×◯◯×◯◯って検索したらこの人!みたいな。たとえば自動車産業×ソフトウェア産業っていうキャリアの組み合わせを持っている人ってあまりいないじゃないですか。希少価値なんですよね。そういう掛け算のキャリアを計画的に積むっていうのもありですね。

 

—キーワードを1つ入れると100万件ヒット、2つ入れると10万件、3つ入れると1000みたいな感じでどんどん希少性が高まるってことですよね。

そうです、その通りです。異種のものを組み合わせるっていうのは人間ならではの能力だと思っています。かき混ぜる能力っていうんですか。そういうところは残ると思います。あとは、表現するとか。交渉するとか。多様な経験をしている人は、物事を多面的に見れるので他の人より人の気持ちが分かったり、新しいものを生み出すのも得意だと思います。AIが対応しきれない条件と合致してますよね。自分にしかできない仕事をできるようにしたいですよね。

 

—これ×これ×これを持っているのはあいつくらいしかいない!っていう感覚ですね。

そうですね。そこに背骨みたいなのがあるとすごくいいんじゃないでしょうか。

 

—背骨?

何か1つ軸となるものがあった方がいいと思います。たとえば、自分だったらイノベーションという軸でしょうし。経営でもいいしマーケティングでもいいですけど。

 

—木村さんは本当にお仕事をエンジョイされているように見えますね。シリコンバレーならではの仕事の楽しさがあれば教えて下さい。

自分が楽しいって思ったり意義を感じたりすることをやっていると、働くことと遊びの境界線がなくなってきます。シリコンバレーでは、人がオープンなので、いろんな人とコラボできるのが面白いです。日本だと結構会社の壁が厚くて横のコラボができないじゃないですか。イノベーションは異種配合から生まれるので、そこが面白いなって。今やっていることすべて1人じゃできなかったことで、同じような志をもっているメンバーを集めることができたので、そこはすごく面白いところですね。

 

—同じ目標、同じ志を持っているというのは非常に大きいですね。

本当にそうです。会社を越えてコラボレーションする時代が間違いなく始まっていて、今後更にその流れは強くなると思います。そこはすごい興味がある領域ですね。人と人が新しいものを創って行く時代では、最後にこの人とやりたいかっていうのは決定打になるので、そういう関係が広がってくると面白いですよね。

これからどんどん垣根がなくなって、異業種を組み合わせて何かを創る時代になってくると思います。ビジネスでみても業界の垣根なくなっているじゃないですか。たとえばウーバーが自動車会社のコンペティターになる一方で、協業も開始しています。すべての業界においてグーグルがコンペティターになるとか。もう必要に迫られてそうなると思うんです。

 

—そういう時代だからこそ会社依存じゃなくて自分がこんなことできてこんなことしたいと思っているっていうのがすごく大事になってきそうですね。
会社もすごく大事なんですけど、それ以前にこの人とやりたいかどうかっていうところがそのプロジェクトを考えるときに軸になりますからね。あの人を知ってるから、このプロジェクトのためにこの人を紹介するよってなるじゃないですか。だから結局最後は人が媒体となってくるので、自分は一体何ができるのかっていうのは、常に模索していく必要があると思います。

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HITPORT初のシリコンバレー取材。刺激がいっぱいでした!

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初のシリコンバレー取材。そこで出会った、本当の意味でのグローバル人材たち。産業の最先端を突っ走る世界に身を置き、”世界を変え続けている”日本人の姿を目の当たりにして、日本では感じることのできない大きな刺激を体感しました。大学生として普段生きている世界とはあまりに掛け離れているように思えるけれど、紛れもなく同じ世界。卒業後、社会人として果たして同じ舞台に立てるのだろうか?20年後、日本の文系学生である自分の未来はどうなっているのだろうか?HITPORTとしても、活動を前に進めるための大きなパワーをもらった取材となりました。

HITPORTでは、様々なキャリアの人にインタビューへ行き、発信するメディア活動や、講演会を開催するイベント活動、また現役生に対するキャリア・コンサルティング活動を行っています。木村さんが仰るところの、様々な人に会ったり、自分の興味のあることを知ったりできる機会だと思いますので、ご興味のある方は下ボタンをクリック!

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