史上最速でマッキンゼーのマネージャーに就任した男は、なぜベンチャー経営者になったのか?

先月、上場を果たし、ドン底から這い上がったベンチャー企業としてメディアにも注目されていた株式会社ロコンドという会社をご存知でしょうか?
実は、同社を率いているのは、一橋OBの田中裕輔さん。前編では、新卒でマッキンゼーに入社後、史上最年少でマネージャーに昇進し、コンサルタントとして大活躍していた田中さんがロコンド創業に参画するまでをお聞きしました!

 

株式会社ロコンド 代表取締役 田中裕輔氏
2003年一橋大学経済学部経済学科を卒業し、マッキンゼーに入社。26歳で同社史上最年少でマネージャーに昇進。2009年、カリフォルニア大学バークレー校でMBAを取得した後、株式会社ロコンドの立ち上げに参画。2011年代表取締役に就任。同社は今年3月東証マザーズ上場。

 

>本日はよろしくお願いします。早速ですが、どうして一橋に進まれたのでしょうか?

田中 高校生の頃から、いわゆるサラリーマンではなく、自分の名前で仕事しているビジネスマンが格好いいと思っていました。一橋はビジネスで有名でしたし、中高が桐朋だったこともあり、実際に見て雰囲気も気に入っていたので、一橋を志望するようになりました。

 

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チャラチャラしていたけど、こんなことしてる場合じゃないと思った 

>一橋ではどの様な活動をしていましたか?

田中 初めの頃はちゃんとした学生をしていなかったんです。イベントサークルを友達とノリで始めたり、夏は海の家でバイトして毎晩女の子と飲みに行ったりしてましたね。服装もロン毛で日焼けしてタンクトップを着たりして。

でも、2年生の後半頃から、ビジネスマンになりたかったはずなのどうしてこんなにチャラチャラしてるんだ、こんなことしてる場合じゃないと思って、モードチェンジしたんです。

実は何故か経済学部に入っていたのですが、ビジネスなら商学部だと思って、そこからは商学部の授業を取りまくりました。当時、元マッキンゼーの役員(ディレクター)だった方が講師を務める企業経営分析という講義があって、その授業内でマッキンゼー卒業生を連れてきて話を聞かせてくださったんです。その時、話は面白いし、キャリアを聞いてもちょっと想像出来ないような凄いキャリアを歩んでいるし、こんな世界があるのかということに衝撃を受けたと同時に、この人達と働くことで自分も凄く成長できる気がしたんです。高校生の頃から目指していた、自分の名前で仕事するビジネスマンに近づけるかなと思いました。

 

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新卒でマッキンゼーへ入社

>実際に新卒ではマッキンゼーに進まれましたが、コンサル業界の中から選んだのではなく、マッキンゼーという会社に行きたいと思ったからだったのでしょうか?

田中 そうですね。他のコンサルや外銀も受けましたが、どうも身が入らなくて全部落ちてしまって。でも、マッキンゼーだけは相性もあったのかススっと内定が決まったんです。

>実際入社してみてどうでしたか?

田中 入社前は、マッキンゼーで働く中でいわゆるマーケットバリューを上げ、どこでも通用する人材になりたいと思っていました。ですが、実際に働き出してみると仕事が単純に楽しくて、そういったマーケットバリューを考えながら働くということはありませんでした。市場価値は上げたいと思って上げるというよりかは、目の前の仕事を一つ一つこなすことで結果として付いてくるものだと思いますね。

 

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史上最年少でマネージャーに就任も、アメリカ留学を決めたワケ

>目の前の仕事をこなして行った田中さんは、史上最年少でマネージャーに就任されたもののアメリカにMBA留学をされたんですよね?

田中 4年間コンサルタントとして働いた後に、社内制度を使ってUCバークレーに留学しました。ただ、本当は行くつもりはあまりなかったんです。もともと就活している時から留学に興味はあったのですが、仕事自体楽しかったですし、結構異例のスピードで昇進させてもらったこともあり、せっかくだからこのまま国内で働いてもう一つ上のパートナー職位を目指そうと思っていました。

でも、その時よく一緒にプロジェクトを担当していた上司の方から、「お前はこのまま働くと昇進してパートナーになれるかもしれないけれど、頭でっかちなコンサルタントになってしまって人間として何かつまらなくなると思う。だから、一回会社を離れる形でMBAを取りにアメリカに行って来い。」と言われたんですね。正直、マッキンンゼーで働いているとMBAの授業と近しい事をしている気もしていたので2年間を費やす意味があまり見出せなかったのですが、ずっと一緒に働いてきた大先輩だったので、僕のことを良く理解してくれた上での言葉なんだろうと思って、留学することにしました。

>実際行ってみてMBAのどこに価値があったと思いますか?

田中 勉強の内容ではなく、ロングバケーションに価値があったと思います。つまり、入社してから4年間ひたすら働いていたのが、MBA学生になった瞬間に余暇ができて、自分を振り返ったりこれからどうしようかなとか色々考える時間ができるんですよ。その空白の時間に価値があったと思います。あとは、DeNAアメリカ支社でインターンをさせてもらっていたのですが、その経験も良かったですね。自分が出来ない部分を痛感したり、シリコンバレーの起業家と話をしたり出来たので。総じて、MBAに行かなかったらベンチャーに出会えていないですし、今の僕は確実に無いので、やっぱりあの上司の方の言ったことは正しかったですね。

 

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一度社会で働いたからこそ見えてきたもの

>大学生時代もある意味ロングバケーションだと思うのですが、一度社会人を経験した後だと見えてくるものが違ったのでしょうか?

田中 学生の時、マッキンゼーに行きたいとは思っていましたが、実際どの様な仕事をするかまでは分からなかったですし、一度働いて色々見えてきたタイミングで一回オフにすることに価値があったと思います。一橋でも卒業後すぐにMBAを取る人がいますが、まずは一度社会に出ることを勧めます。中途半端にMBAを学んだところで座学に毛の生えた程度のものにしかならないですし、リアルで学ぶことの方が圧倒的に価値があると思います。5年目の休学やモラトリアムも一度働いてからの方が絶対いいですね。

>アメリカでベンチャーに出会ったとのことですが、コンサル会社であるマッキンンゼーとベンチャーの大きな違いは何でしたか?

田中 マッキンゼーは良くも悪くもアドバイザーなんですよね。凄い色々考えて調査して、そこにクライアントはお金を払ってくださるので、もちろんそれ自体一個の重要なビジネスではあるのですが、どれだけ綺麗な資料を作っても実際に100億円売り上げる人には敵わないわけですよ。ビジネス界では結局売り上げを作る人が強いというシンプルな鉄則を改めて感じました。

>そこで、高校時代にビジネスで活躍したいと思っていたことと重なったのでしょうか?

田中 まあ、振り返ってみればですね。高校生、大学生の時に見えるビジネスの世界って本当に小さなものじゃないですか。100分の一も見えてなかったと思います。単純に、よりベーシックな原則をちゃんとわかったというか、高校生の時はほんとにぼんやりとしか見えていなかった自分の中のヒーロー像がより具体的になったという感じですかね。

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ロコンド参画の経緯

>アメリカからの帰国後、ロコンド立ち上げに参画されたんですよね。その経緯を詳しくお聞かせください。

田中 帰国してから一年間程コンサルタントとして働いていましたが、事業の世界を知ってしまったせいか、こんなことが自分はずっとやりたいのかなと思って凄く物足りなさを感じていました。とはいえ、起業をするにしてもきちんと資金を準備した上でやりたいと考えていて、色々なベンチャーキャピタル(以下VC)の人達と話をしていました。丁度その時に出会ったのが、ドイツのロケットインターネット(以下ロケット)という会社で、自分達で投資して100%子会社を作るベンチャーインキュベーションファンド的な要素を持ったVCでした。色々と話をする中で将来的に僕に会社を作らせてはどうかという話になり、まずはロコンドの立ち上げを支援しながら次の自分の会社について考えることになったんです。

>そうするとその時点でロコンドは既に立ち上がっていたということでしょうか?

田中 そうなんです。僕自身が起業した訳ではなく、創業1ヶ月の頃にマッキンゼーに籍は残しながら、インターンとしてロコンド立ち上げに参画したんです。その時点で、靴を中心とした返品無料の通販というロコンドのビジネスモデルは既に始動していて、10億円を半年間で投資して、社員を200人採用したり、テレビCMを行ったり、商品を沢山買い取ったりと急速に立ち上げを行おうとしていた時期でした。


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ロコンド立ち上げに参画することになった田中さんですが、実はそのスタートは稀に見る「地獄物語」でした。
後編はこちら

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