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アメリカ留学をきっかけにコンサルからベンチャーの世界へ足を踏み入れた田中さん。後編では、「地獄」のスタートから上場までロコンドを立ち直したお話を伺っていきます。
後半では、学生向けに、会社の見極め方・やりたいことの見つけ方などもお話してもらいました!
(前編はこちら

株式会社ロコンド 代表取締役 田中裕輔
2003年一橋大学経済学部経済学科を卒業し、マッキンゼーに入社。26歳で同社史上最年少でマネージャーに昇進。2009年、カリフォルニア大学バークレー校でMBAを取得した後、株式会社ロコンドの立ち上げに参画。2011年代表取締役に就任。同社は今年3月東証マザーズ上場。

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破産寸前の会社を立て直そうと思った理由

>ロコンドは順風満帆で今に至った訳ではないというお話を伺ったのですが?

田中 はい、10億円を投資したものの全く上手くいきませんでした。しかも、不運なことに東日本大震災もあり、創業から半年で10億円を使い切った上に沢山の借金だけが残る結末になりました。会社は畳むと同時にロケットも日本から撤退するという判断になり、残念だなと思う一方で、まだマッキンゼーに籍を残していたので戻れるからラッキーだぐらいに考えていました。ただ、その後ロケットの創業者と話す機会があり、君がターンアラウンドを責任持ってやるのであれば追加で5億円投資するという話をされたんです。

社員はみんな破産を目前に辞めていくし、月に1億円の赤字があって倉庫の在庫はトラックで運ばれるし、裁判も何件も抱えていて、労働基準監督署にも乗り込まれるしで散々だったのですが、可能性はゼロではないと思っていました。というのも、アメリカで似たビジネスモデルを展開して大成功したザッポスという会社の創業者の話を聞いたことがあって、彼は人々にハピネスを届けると言っていました。返品無料のECサイトがあれば、みんな安心してオンラインショッピングが出来るんだと。なので、必死でターンアラウンドを行えば、このビジネスモデルは十分な意義もあるしいけるんじゃないかなと思っていたんですよね。

もちろん正式に参画するとなると、給料は半額、破産したら破産処理もしなければいけないため無職の期間も続きますし、奥さんが初めての子供を産むタイミングといくらでも引き受けない理由はありました。ただ、どこかでこれがダメでも最悪食べてはいけるだろうという自信と、インターンと言えど片足を突っ込んでいてここで僕がノーと言えば完全にロコンドは終わってしまうけれど、オッケーと言えば生存確率が5%くらいは上がるんだから引くわけには行かないという意地みたいなものがありました。結果、引き受ける決断をしてリストラや財務の整理などあの時期はキツかったですが、何とか乗り越えて今に至っています。

>想像を絶する壮絶なお話ですね。

田中 色々な方とお話させて頂く機会があったのですが、今まで聞いたベンチャーのストーリーの中でも一番大変だとおっしゃっていただいています。


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コンサルタント時代の経験はどう活きたのか?

>そこから見事に軌道修正し、上場させるまでにロコンドを成長させた訳ですが、経営を行っていく上でコンサル時代の経験はどんな風に活きましたか?

田中 マッキンゼーで学んだ論理的思考能力は、マッキンゼーでなければ学べなかったとは思いませんが、どこでも使える能力だったと思いますね。ただ、9割くらいはやりながら学んでいったことが一番大きかったと思います。リストラの仕方や、裁判官との闘い方なんでどこへ行っても学べないじゃないですか。

資格や肩書きに意味はないと思うんです。例えば転職をするとして、僕の経歴書の中でもマッキンゼーやMBA自体にはみんな興味ないと思いますよ。正直、学生時代や入社3,4年目くらいまでは履歴書を良くするという打算的な考えがあったのですが、途中で、マッキンゼーの史上最年少マネージャーだから採用してくれる会社なんてどこにも無いことに気付いたんです。この人はどんな能力があって、ウチの会社で何ができるかしか見られないのだから履歴書を気にするのはやめたほうがいいと思う様になりました。

今の時代、色んなな会社で働くわけじゃないですか。別にスタートアップが最高とは思わないですし、大企業や外資でもその人がやりたいことでいいと思うのですが、会社のネームで入社してしまうとすごく10年後に後悔すると思います。ぶっちゃけ大手商社で10年働いたからといってマーケットバリューがあがるかといったらほぼないですよ。それよりもこの人は何ができるかで見ますから。

>学生が就活をする時に、会社のネームじゃ無くて何が出来るかが大事なんだという思考を持っていたとして、それを見抜く方法はありますか?

田中 小さな第一歩のことでいうと、OB訪問とかでもいいので社会人に話を聞きながらどういう人とどういう仕事を入社後3~5年するのかという具体的なイメージを持つことがスタートだと思います。その上で、自分が何をどのくらい学んでチャレンジできるか。あ、何か知識みたいに思えてしまうので、学びっていうとよくないですね。知識も意味なくて、結局どれだけやったことが無いことに挑戦できるかで力って変わってくると思うんです。どんどんチャレンジして時には負けながら、やり続けることで人間として、ビジネスマンとして強くなっていきます。最初は興味ある業界とかでいいと思うんですよ。まとめると、社会人に話を聞きながらできる限り仕事の内容を詳しくイメージして、それから自分がどのくらいチャレンジできそうかっていう尺度で見ることですね。

 

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成長するためには打席に立つことが必要

>やはり成長には挑戦が大事ということでしょうか?

田中 絶対そうです。だから、マッキンゼーも、論理的思考能力を学ばせてもらえたからとかではなく、色んな挑戦をさせてもらえたから良かったと思っています。挑戦を沢山できる場にいると失敗の耐性ができて、自分の中で自信になっていくんですね。日本人はよく打率で考えがちですが、ビジネスの世界ってヒットの数、つまり何回打席に立てるかが大事なんです。打率8割で打席に10回立つとヒット8本ですが、打率3割で打席に100回立つとヒット30本ですよね。打席に多く立てるという考え方を忘れないことが大切だと思います。

>意識の高い学生ほど戦略的というか、学生ならではの考えで外資系とかスタートアップとかすごい色々考える人が多いと思うんですけど、そういう考えは意味無いと思いますか?

田中 ぼくはそういう考えも否定はしないです。別に、起業したい人はみんな今すぐ起業するべきとは思っていなくて、ある意味起業っていつでも出来るじゃないですか。僕は夢さえ忘れなければ、最初は会社に入って色んな挑戦をしたり、人脈を作ったりしてももいいと思います。最近は学生起業よりもどこかの企業を挟んでから起業するパターンの方が多い気がしますし、僕はその方がよかったなと思いますけどね。実際、ロコンドを経営する上でも資金調達や業務提携をする中でマッキンゼー時代の人脈が活きていることもあるんです。ただ、ありがちなのが、一回企業に入ってしまうと気持ち良くなっちゃうんですよ。雇われて安定、いずれ結婚もして子供もできると気づけば夢を忘れてしまうことは本当に多いので、いかに自分を律することができるかは大事だと思います。

僕自身、アメリカからの帰国後、毎日リッツ・カールトンに泊まって、食費は無制限、給料も上がって、奥さんもいてというスーパー快適な生活が待っていました。初めは貧乏学生からリッチな生活に戻って楽しかったのですが、3,4ヶ月経つとここにいたら本当にダメだ、このままいくとお金から離れられなくなる、自分がやりたいことよりも気持ち良い方・楽な方にいってしまう、この1年でマッキンンゼーを辞めなければおれは終わると思っていたことはすごく覚えています。


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自分で決められないことへのジレンマ

>コンサルと事業会社両方を経験されていますが、コンサルティング会社であるマッキンンゼーと事業会社であるロコンドでは感じるやりがいが違いますか?

田中 僕にとってマッキンゼーが30歳になった時に合わなかっただけで、今でも素晴らしい会社だと思います。ただ、ぼくの性分上合わないと感じていたことは、自分で決められないことへのジレンマでした。コンサルタントってやはりどこまでいっても決められないんですよ。そこには2年くらいしてジレンマを感じ始めていました。絶対こういうことをやったほうが良いと僕は思っているのに、あくまでもアドバイザーとしてしか関われず、クライアントが持ち帰りますとなった時に悔しいと感じることは頻繁にありましたね。逆にロコンドでは、自分の決定したことが失敗したら責任は取りますし、逆に成功したら褒めてもらえるといった部分があって凄く自分に合っていると思いました。

 

>Newspicksでテクノロジーの進展によってコンサルの価値は変わっているという特集もありましたが、実際見ていてどう思われますか?

田中 それはグッドポイントですね。実際、価値は昔と比べると大分下がっていて、コンサルティング会社のやる仕事も変わってきているんですよ。提案や分析だけのプロジェクトの割合は少なくなっていて、高級派遣社員というか、実際会社に送り込まれて働くパターンが増えているんですよね。ただ、別にコンサルが終わりということではなくて、時代に合わせてコンサルの形が変化しているだけなのだと思います。

 

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目標の上方修正という考え方

>最後に、やりたいことが見えていない学生に何か一言お願いします。

田中 この手の話の時に僕は良く使う言葉があって、目標の上方修正というものです。自分のここ10年間を振り返っても、目標のレベルが上がってきているなということは感じているんですよ。一橋入学時は自分の様なちゃらんぽらんがマッキンゼーに入社出来るとは思っていなくてそれ自体が夢でしたし、いざ入社するとパートナーは難しくてもマネージャーならいけるんじゃないかと考えていて、実際マネージャーになると、パートナーもありだけど次の夢は経営者だなと思う様になって、経営者になった今は、いかに時価総額1兆円の会社を作るかという風に少しずつ目標が上方修正されてきているんですよね。

学生の時って僕もそうでしたが、見えている様で何も見えてないじゃないですか。みんながみんな高い志を持つのも気持ち悪いので、別に目標は一番低くてもいいと思うんですよ。必要なのは随時上方修正することで、そのために何が必要かというと、やっぱりアクションなんです。そういう意味ではまずは社会に出て働いてみることも重要ですし、ビジネスがやりたいのにずっと院の中でこもっているのは違うんじゃないかなと思います。アドバイスとしては、とりあえず前に一歩踏み出した方がいいということですね。

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