文系もテクノロジーを学んで理系を侵食してもいいんじゃない?〜一橋OBのエンジニアから学ぶ、これからの文系の価値〜

前編では我妻さんがプログラミングと出会い、自分のやりたいことをみつけていく過程とその背景を伺いました。後編では、テクノロジーによって大きく変貌する社会において文系がどうような役割を担っていけるかについて探ろうと思います。

 

 

 

我妻謙樹さん(24)
一橋大学社会学部入学後、複数のインターンやフリーランス活動を通してプログラミングにのめり込む。第一回ITドラフト会議 にてリクルートやクックパッドから指名を受ける。
2015年卒業後にソフトウェアエンジニアとしてリクルートホールディングスに入社し、2016年12月よりベンチャー企業のビットジャーニーにて働く。

 

ーリクルートでの一年半ではどんなお仕事をされていましたか?

 

我妻 リクルートではエンジニアはリクルートホールディングスに一括採用されてそこから出向するんですけど、私はリクルートテクノロジーズという機能会社に配属になって、そこで色々やらせてもらいましたね。モバイルアプリを0ベースで要件定義からリリースまで開発したり、既にあるSUUMOの2~30人のチームに入れてもらって保守・運用とかエンハンス、といったいわゆる一エンジニアとしての仕事やチームとしてのコミュニケーションとか。あるいは品質担保のためのテストについてやり方などを考えたりしました。

 

ーそうすると、周りに理系の方が多いと思うんですが、その人たちとの違いを感じることはありますか?

 

我妻 ええ、理系は多くて違いを感じることは多々あります。私は社会学部に入ったことは後悔していませんが、やはり大学で情報工学を学んできた人たちに比べて基礎がない。なので今必死に勉強してますよ。アルゴリズムやデータ構造とか、それからそもそもこのMacがチップやメモリーのレベルでどう動いているのかとか。

よく「コンピューターは0と1で動く」といいますが、これとコードを書くことの間には様々なレイヤーがあって、コンピューターサイエンスを学んだ人たちはこういうことを知っていて、自分はこうした人たちに今は敵わない。例えば分からないことがあったときにより低いレイヤーで説明できる人は問題解決能力が高い。ですので今一生懸命キャッチアップしてるところです。社会学部で学んだことは教養として楽しかったですがね。

だからこれからエンジニアになりたい文系の人がいたら、情報工学を学んでいない、という事実には謙虚に向き合って学んでほしいし、エンジニアリングは単にコードを書くだけではないということはないということは知っていてほしい。とはいえ仕事の中で学ぶこともあるし、あくまでスタートのスピードが違うだけなので文系の人にもどんどん躊躇せずにエンジニアを目指してほしいと思います

 

ー文系でもエンジニアを目指せるのですね。その一方で最近ではエンジニアが起業する、というケースも特にシリコンバレーなどにおいてみられますが、そのように理系が文系の領域に進出してくる際に文系はどういった役割を担っていけるのでしょうか?

 

我妻 う~ん、単純にいえば、文系もテクノロジーを学んで理系の領域を侵食すればいいんじゃないでしょうか(笑)。いわゆる「文系理系」という区分は、大学でなんの学問をコアに学んだかというものでしかないので、その後どんなことを学び、どんな仕事をするかを決定するほど厳密なものではないです。ある意味では、「文系」になった後で「理系」になればいいし、その逆も然り。やろうよテクノロジー!楽しいよ!

 

ー言われてみればそうですね(笑)そういった時に、テクノロジーを学んだ文系が持つ強みは具体的にどんなものがあるのでしょうか?

 

我妻 色々とあると思いますよ。例えば経済のバックグラウンドがあって手段としてプログラミングを学んでエンジニアになった人なら、チームで働く際に事業をまとめるプロダクトマネージャーと架け橋になるような会話をしたり、グロースハッカー としての立場で知見を活かしたり。また語学ができる人は世界中のプログラマーとさくっと会話できたりしますし、文系エンジニアが学んだことは生きてくると思います。

 あとはモノを作る立場と広める立場の違いもありますね。シリコンバレーの例で言っても、「ビジネスモデルをエンジニアに提示して作ってもらう」から「まずエンジニアが作ってしまって、その後にビジネスが入ってくる」という風に枠組みが変わりつつあると思います。そうした時にプログラミングの知識もある人が広めることには意義があると思います。

 

ーテクノロジーを学んだ文系の活躍の幅は広そうですね。では文系がテクノロジーを学ぶ際に何をどこまで学べばよいのでしょうか?

 

我妻 その質問に対する答えは、「テクノロジーは手段である」という一言に詰まっています。元文系の人は、プログラミングやグラフィックデザインといった手段をつかって何を実現したいのか、が大事だと思っています。

例えば社内にてあるサービスをつくるために承認を得る際にモックアップを作りたい、という目標があったらモックアップを作れるレベル、具体的にはHTMLやCSSのコーディングであったり簡単にサイトがつくれるツールの使い方などのレベルを学べばいい。

 

 

一方で、実際に人数が少ない中で起業したいがリソースが足りないためプログラマーが雇えず自分一人しかいない、という状況だったらwebアプリケーションを作れるプログラミング技術、今ならRuby on Railsなどのフレームワークを勉強しなきゃいけない。要するに、どこまでテクノロジーを学ぶかは、テクノロジーを使って何をしたいかで人によって変わると思います。

 

ーそれでは、これからプログラミングを学ぼうと思っている人に言いたいことなどありましたらお願いします。

 

我妻 自分がLife is Tech!に関わっていた頃、中高生に教えていて一番大事だなと感じたのは最初に「やった!つくれた!」って感動することですね。例えば中一の子が自分の思い通りにタイトルの色を赤から青に変えただけでめちゃくちゃ感動なんですね。それが伝わってくるくらい。大学生が学ぶのでも、一行少し変えただけで「Hello World!」って出てきてすごく感動するとか、そうしたことを大切にしてほしいと思います。

「この言語を学んでこういうサービスを作って半年間でどれくらいの利用者を~」とか難しく考え出すと、プログラミングを別の軸でみてしまうと思うので、最初は純粋に楽しんだほうがいいかなと思います。

 


ーありがとうございました。最後に一橋生に向けてメッセージをお願いします。

 

我妻 これは自分が心がけていることですが、何事も謙虚であれば開けてくると思います。就職活動でいえば今売り手市場ということもあって横柄に社会人に対して失礼な言動をする、というような話も聞きますし、学問に対しても親の金で通わせてもらっているのに全然勉強せずに~してた、みたいなことがもったいないなと思います。

就活にしろ学問にしろプログラミングにしろ、自分がなんでそれをしてるのかを一旦一呼吸おいて考える。そうして周りの人に謙虚に感謝してやってくのが大事だと思います。なので、人それぞれ自分がなにを大切にしているのかを考えていろんなことに臨んでみるといいと思います。

 

//////////////////////////////////

編集後記

「バイトの時間がもったいない」という思いから出発し、フリーランスという選択を通してプログラミングという自分が本当に好きなものに出会えたという我妻さん。この記事の読者の方にも現状に不満・問題を感じつつ行動を起こせずにいる人も多いかと思います。

現実として不満を持っていたとしても、実際の行動に移して状況を改善する、というのはなかなか難しいものです。しかし、こうして行動を起こした人が、しかもその人が自分と同じ一橋生となれば、自分も、と思えるのではないでしょうか。

HITPORTでは、これからもメディア・イベントを通じ行動のきっかけとなるような情報をお届けします。

///////////////////////////////

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

Twitter で