就活でなんとなく「成長」や「裁量」って使ってない? 急成長スタートアップ企業の若手OBに話を聞く<後編> 若手OB連載企画 スタートアップ企業編

編では、急成長中のfreeeが見据える未来や求める人材像、

終身雇用制が崩れつつある今の日本において本当の意味での「安定」とはどういう

意味なのか、などキャリアを考える上で参考になるお話を伺ってきました!

(前編はこちら)

急成長するfreeeの未来

-続いて、今勤められているfreeeについてお聞かせください!freeeとしてはフィンテック分野でどのような展望をお考えですか?

高森 僕らが目指しているのは、単なるクラウドの業務システムを提供することではなくて、クラウドサービスを提供することで得た”ヒト”と”カネ”のデータを使って新しいビジネスのプラットフォームを作ることです。例えば、金融機関と提携して短期間で与信判断ができる新しい融資のスキームを作ることで中小企業の喫緊の資金ニーズに対応できるようにしたり、freee上の財務データを活用することで金融機関が融資先の中小企業向けに適切で迅速なコンサルティングサービスを提供できるようにしたりと、データを活用したサービスも次々に立ち上がっています。そして、経営者が純粋に意思決定に集中できる環境を作りたいと考えています。経営者が意思決定するためには、データの収集と適切な可視化が必要ですが、僕らがその意志決定の手前の段階を全てカバーすることで、経営者が創造的な活動にフォーカスできる状態を作り出せると考えています。

-複数社から内定をもらっていた中で、freeeに入社を決意したのはどうしてだったのですか?

高森 一言でいうと、freeeに入ることが「安定」につながると思ったからです。理由としては大きく分けて3つあります。1つ目は組織や仕組みが完成されているところから学び取るよりも、組織や仕組みを創り上げていくことの方が面白いと思ったこと。2つ目は、freeeがやっている事業が社会的に意義のあることだと心から納得できたこと。そして3つ目は、多様な得意技を持った人たちのもとで、学び取れることが多いということです。弊社の場合は、セールスにマーケティングにバックオフィスにエンジニアと、様々な会社・業界で経験を積んできた方々がジョインしていて、人材がかなり多様です。しかも、自社のプロダクトを1から作り上げて提供しているため、エンジニアの質・量ともに高い。そして、ビジネスサイドとプロダクトサイドが一緒になってプロジェクトに取り組むことが多いため、双方向のコミュニケーションや学びの機会も日常的に多くあります。このような環境だからこそ学べることは多いです。

-発展中の企業で0→1で作り上げていくことの方が将来的に「安定」につながるということでしょうか

高森 そもそも本当の意味での「安定」とはどういうことかを考える必要があって。よく言われる「安定」は、単なる思考停止だと僕はとらえています。「安定」=「寄りかかれる幹(企業)の太さ」と考えられがちですが、その幹は根っこが思いのほか浅かったり、地震が起きて簡単に倒れてしまうかもしれません。そうなった場合に、幹に寄りかかっている人は木が倒れたら一緒に倒れてしまいます。僕は、本当の「安定」とは自分の足で立つことだと思っています。つまり、幹に頼らず自分の脚力を鍛えることが大切です。寄りかかる幹がなまじ太いと、自立する機会がなくて脚力は養われません。それよりも、まだ幹が細い状態のところで、自分の足で立って水やりに雑草取りに害虫駆除にと動き回ることで脚力はつくのだと思っています。「安定」を企業に求めてしまうことは、本当の「安定」とは言えないのかなと。

-では、芽が出たばかりのfreeeで、新卒1期生としてどのような経験が積めましたか?

高森 新卒に対する期待値が高く、中途も新卒も関係なく成果を求められ、「習うより慣れろ」といった環境でしたが、その分早くから様々な経験を積むことができました。もちろん、まだ人材育成の環境が整っていないという面はありました。僕自身、セールスチームにいたときに成果が出ず壁にぶつかった時期があったんですが、そのときに自分から役員陣にフィードバックが欲しいとメールを送り付けたんですね。そしたら返事をもらって毎週1on1でメンタリングをしてもらうことになりました。これは僕にとって大きな成長機会だったと今振り返って思うのですが、育成環境が仕組みとして整っていれば自分から言わずともサポートしてもらえたかもしれません。1対1でメンバーと向き合うカルチャーは強烈にありますが、自分自身の体験した悩みや経験を踏まえて、今後の新入社員の育成システムや仕組みの構築に活かしていきたいと思っています。

-急成長しながら組織を創りあげていくフェーズにあるfreeeではどのよう人材が求められているのですか?

高森 「自走できる」人材と「変化を楽しめる」人材です。「自走できる」というのは、弊社は先に述べたような環境なので、整っていないことを前提に問題意識や当事者意識を強く持って自分から動ける人でないと活躍できません。「変化を楽しめる」というのは、数年後に会社がどうなっているかは全くわからないですが、変化し続けていくこと自体は不変なので、その変化に対応するだけでなく、自ら変化を起こし楽しめることが活躍することにつながるはずです。「変化を楽しめる」をもっと掘り下げると、目の前のことをどれだけ一所懸命にできるかに尽きると思います。先々の変化を見越して計画を立てることは大切ですが、それだと今本当にすべきことが見えなくなってしまう。決して近視眼的になることとは違いますが、目の前のことをやりきることで、今までよりも高い視座を得ることができ、その高くなった視点で次の仕事に取り組むことで、より高い視点を得ることができる。結局は、目の前の仕事を一つ一つ全力で取り組むことが「成長」や「変化を楽しむ」ことにつながるんだと思います。

 

一橋生へのメッセージ

-よく就活では「成長」や「裁量」という言葉を耳にしますが、高森さんは「成長」や「裁量」という言葉についてどうお考えですか?

高森 「成長」や「裁量」って言葉はマジックワードで、僕もそうでしたが就活生も曖昧なままに使ってしまっているような気がします。これはfreeeに入って学んだことですが、成長って結果に過ぎないんですよね。成長したいなんて思う余裕がないくらい全力でコトに当たった結果、振り返ってみたら2,3歩前に進んでいることに気が付く、ということなんだと思います。ですから、逆説的ですが、成長したいなんて言う余力のあるうちは成長できないと個人的には思っています。また、裁量というのは責任の裏返しです。与えられるものではなくて、成果を積み上げて信頼を得て勝ち取るものです。「裁量権の大きい仕事を早くから任せられるよ」と説明する会社も多いですが、実績のない新卒社員に簡単に任せられるような仕事はその程度の重みしかないということです。もちろん背伸びをすることは大事ですが、やり切って実績を積み上げ、裁量を勝ち取り、またやり切って実績を積み上げる。この繰り返しが成長につながり、裁量を得ることにつながるのだと考えています。

-最後に人事の立場から一橋大生にメッセージをお願いします!

高森 とにかく、やりたいこと、やっていることをやり切ってほしいです。アルバイトとかサークル運営とか身近なテーマでも、やり切れるポイントっていくつかあって、そのポイントにどれだけ当事者意識をもって一所懸命に取り組めるかが大切だと思います。やり切るかやり切れないかでは学べる量は大きく変わりますからね。

それから、就活中は社会人に色々なことを言われると思うのですが、キャリア選択において正解なんてありません。だから、正解を選ぼうとするのではなくて、選んだものを正解にしていくこと。判断しようとするのではなく、決断をすることが大切です。会社選びでも、一度決断したなら、あとはその決断をいかに正解にしていくかというだけのことです。

そして、決断をする軸となるのは、良し悪しではなく、個人の好き嫌いや価値観です。僕はその人が大事にしている価値観や好み、かっこよさの定義というものは、過去の意思決定の中にあると思います。自分が何を好み、何を大事にしていて、何をかっこいいと思うのか、というのは、これまでの意思決定とその理由を振り返ると見えてくるのではないでしょうか。

-本日は貴重なお話をありがとうございました!