「気付いたらバングラデシュで工場長してた」前編

法学部4年 菅生卓磨さん

 “弁護士になりたい!“
 小学校高学年のときからずっと弁護士になろうと思い、一橋大学の法学部に入学した。しかし、そんな彼があるきっかけで、大学を2回も休学し、国内外でインターンすることになる。バングラデシュでの海外インターンでは、日本人が周りにいない中で工場長を務めることになる。前編・後編の2回に分けて、菅生卓磨さんのインターンのきっかけやキャリア観の変遷に迫る。

 

小学生の時からずっと弁護士になりたかった

――川野:「今日は同じく大学卒業が2年遅れてる組として、タメ語でやろうか(笑)。大学を休学してバングラデシュでインターンをしてたのは知ってるんだけど、元々新興国のビジネスとかに興味あったの?」

 

菅生さん:「まったくなかったね(笑)。元々は弁護士になろうかと思ってた。小学校高学年ぐらいのときに、親が勧めてくれた職業が、医者・弁護士・公務員などの職業だったから、その中からなんとなく弁護士を選んだ。そこから、司法試験の合格率の高かった一橋の法学部を目指すことにしたんだよね。一橋入学後は、司法試験予備校の通信教育で弁護士になるために勉強してたね。」

 

――川野:「え、弁護士と新興国でのインターンって全然違うじゃん。興味の変遷が気になる(笑)。小学生で弁護士になりたいとなんとなく思って、高校ぐらいでその思いが固まったみたいな感じか。」

 

菅生さん:「さっき言ったとおり、特に深い理由もなく弁護士目指すかって感じで勉強を始めたんだよね。でも徐々に「弁護士に絶対ならなきゃ」みたいに思い込むようになってしまって。弁護士以外の選択肢をまともに考えたことがなくて、それ以外何も分からなかったっていうのは大きな理由の1つかな。あとは、親の希望を叶えたいっていうもあったし、司法試験予備校に投下した高額の授業料を回収しないと…みたいなこともあった。」

本当に弁護士になりたいんだっけ?

 

――川野:「そういう、なぜか分からないけど自分は絶対こうしなきゃみたいな思い込みってあるよね。でも結局、勉強を続けて弁護士にならなかったんだよね?」

 

菅生さん:「そうだね。3年の夏になると周りが就活を意識して、サマーインターンとか始めだしてさ。そこで、自分は本当にこのまま弁護士を目指し続けるのがいいのかって考えなおすきっかけができた。そんな中、twitterを見てたら、たまたまあるNPOの理事長のアカウントを見つけたんだよね。その人は学生時代からずっとブログを書いていて、そのブログを読んでいるうちにとても興味が湧いた。ブログには、その人自身の挫折経験からくる悩みや、NPOの事業に対する思いが書いてあった。あとは、複数の途上国を訪れたりするなかで感じたことを、思想とか社会学と絡めながら書いてある記事もあって、思考が深いなと思った。事業自体にも共感する部分はあったし、この人の元で働いてみたいなと思ったんだよね。それで面接を受けに行って、何とかインターンとして働かせてもらえることになった」

 

――川野:「へぇー、急展開だな。実際そのNPOではどんな活動をしてたの?」

 

菅生さん:「メンタルヘルス分野で支援を行うNPOで、具体的には不登校の人向けの塾や、ひきこもり経験者への就労支援等を行っていた。ほんとうに色々経験させてもらったな。塾講師の募集要項を作成したり、皆からの寄付を集めたり、フリースペースっていうひきこもりの人が定期的に通う事業の立ち上げをしたりとか。

はじめは週3ぐらいで働いていたんだけど、とても面白かったから大学を半年休学してフルコミットすることにした。半年後に復学してからも、ずっとインターンは続けてたんだけど、そうするといきなり、理事長からベトナムで事業の立ち上げをやらないかって言われてさ。自分としてもベトナムに行けるなら行ってみたいなと感じたから、もう1年休学してベトナムに行っちゃった(笑)。ベトナムでは日本の大学生とかを対象にしたスタディーツアーの立ち上げとかをやってた。」

 

 

バングラ写真

休学2回目の後半はバングラデシュへ

 

――川野:「NPOでのベトナムのインターンの後は、バングラデシュに行ったということだけど、これはまた何でなの?」
菅生さん:「特定の国にこだわりはなかったんだけど、途上国で現地の人向けに事業をやってみたいなとは思ってたんだよね。ベトナムでは日本人向けの事業を主にやってたから。そこで色々と探していくうちに、バングラデシュで電動3輪車の製造・販売を行っている日系のベンチャー企業を見つけて、インターンさせてもらうことになったっていう流れだった。

インターンを探していたときの条件は主に2つあって。1つ目は、自分の責任をもつ割合が多いこと。ベトナムでは基本的に上司と2人で事業を立ちあげていて、自分は部下として働いていた。だから今度は、自分が上の立場になって、裁量を持って事業を回してみる経験をしてみたいと思った。ベトナムでの事業立ち上げの経験から、あそこをもう少しこうしておけば、もっとうまくいったはずだっていう反省があったから、今度はもっとうまく事業を回してやるぞという気持ちだったね。

2つめは、日本とは全く環境に行ってみたいとも思ったこと。ベトナムって食事もおいしくて住みやすい国だったんだけど、一方で自分が思い描いていた途上国感がなかった。もう少し経済的に発展していなくて、宗教とか生活習慣が日本とまったく違う国のほうが良いなと思ってた。

インターン先の会社は、失敗して仕事を覚えるようなカルチャーがあったから、色々やらせてくれるだろうなと。あとは、バングラデシュはイスラム教の国で宗教・文化は全く日本と違うし、現地に行ったことのある人が、日本人が長期間住むのは厳しいと言っていた。そこで、これは行くしかないと思ったかな(笑)」

 

 次回、ベトナムからバングラデシュに拠点を移した菅生さんの貴重な経験。そしてインターンを通じて形成されたキャリア観に迫る。

 

 

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