通貨が変われば、世界も変わる【後編】 テクノロジーが世界を変える

(Photographer: George Frey/Bloomberg)

お金×テクノロジーを語るうえで欠かせないのが仮想通貨の存在だ。
仮想通貨はまだインフラが十分に整備されていないなどの問題はあるが、インターネットが世間に与えたインパクトと同等のポテンシャルを備えていると言われている。そこで仮想通貨(ビットコイン)を活用したイノベーティブな事例を紹介したい。

 

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仮想通貨が国を創る

 

伝統的な国家の役割である、国籍や婚姻、生死の管理、安全保障など、その他多くのサービスをデジタルの世界で提供している企業がある。それがBITNATION(ビットネイション)だ。詳しい説明は割愛するが、ビットコインという仮想通貨の基盤技術を活用することによって、国籍や住所にとらわれず、非中央主権的(分散的)かつ自発的にサービスを受けることができる。

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resource:bitnation

BITNATION(ビットネイション)のヴィジョンは『国家が提供している地理的なアパルトヘイトを排除し、より良く安価な統治サービスを提供すること』。一国一貨幣制度がある以上、人が貧困になる確率は生まれる国家に依存している。世界には25億人以上の貧困層がおり、経済システムに組み込まれていないのである。だがビットコインを活用すれば地理条件や出生にとらわれない経済システムを創ることができ、誰もがそれを享受することができるようになる。

いきなり国を創るなんて言われてもピンとこないかもしれないが、すでに私たちの生活の中にはある種デジタルネイションと呼べるようなものがある。

それはFacebookやLINEのようなSNSのプラットフォームだ。すでにFacebookの会員数は世界で10億人を超えており、一つの巨大国家であると言っても過言ではない。国家に必要な三要素は「領土・国民・主権」の3つだが、サービス自体のプラットフォーム、その中でのユーザー(登録者)と自由な活動が当てはまる。近い将来、自分で経済圏やコミュニティをオンラインで選択することができるような時代がやってくるかもしれない。

 

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ビットコインだけで世界一周した男がいる!?

 

resource:bitcointraveler

 

その内容はビットコインで世界の27カ国、50都市を周るというものだ。ビットコインを使用するには、インターネットやビットコイン自体の普及が不可欠であるが、逆にそれさえあれば、訪れた国々で現地の通貨を調達する必要もないため、世界中を単一通貨で生活することができる。
フェリックス氏は人が認めるのであれば、何でもお金である。と述べているが、これは国や公的権力が認めなくとも、需給がマッチングしさえすれば取引は成立するということである。この言葉にお金の本質を見て取ることができる。

 

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歴史から紐解く、お金の本質とは

 

お金が発明される前、人は物々交換をすることで生活してきた。そこには自分のコミュニティ内で直接的なやり取りがあり、コミュニティの結びつきも強かった。しかし、物々交換では、交換範囲や保存期間も限られているうえ、人々は食料の生産に必要最低限の時間を費やさなければならなかったため、自由な時間も少なかった。

 

そこで、人々が発明したのがお金である。自分の生産物をお金に変えて、蓄積したり、交換したりすることで、人々は役割を分担し、専門性を身につけたり、自分の好きなことを追求したりする時間を手に入れることができた。

 

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resource: Encarta2001

 

お金は、石、貝、塩、金属、鋳貨、紙幣、デジタルなど、様々な形態を経て進化してきた。お金がお金として機能したのは、長期的に保存でき、交換する手段になり、媒介物として価値を測ることができたからである。そして、この価値を測る尺度としての機能を果たす「信頼」こそがお金の本質である。取引する人の間で信頼できるモノがあるなら、なんだってお金になるうる、フェリックス氏の言葉の通りである。

 

金なら、それ自体に絶対的な価値があるから、お金になった。塩や胡椒などの調味料も、西洋で価値が高い時代があった。紙幣は、それ自体は単なる紙でしかないが、国や公的権力がお金としての信用を加えた。こうして信用力のある「お金」の存在が、経済の範囲を拡大し、文明を発展させてきた。
そして現在、お金とITが結びつくことで、人の経済活動に、原始的な回帰とも呼べる現象が起きている。それは上記のビットコインのような、ユーザーたち自身が運営する分散型のお金のシステムや、シェアリングエコノミーやクラウドファンディングなどの事例から洞察できる。

 

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人の気持ちを映すメディアになる

シェアリングエコノミーとは、個人や法人の遊休資産を使いたい人に貸し出すのを支援するサービス群のことであり、国も力を入れている注目の領域だ。配車タクシーサービスのUberや利用していない部屋を旅行者に貸し出すAirbnbに代表される。貸し手は、遊休資産を活用することで収入を得ることができ、借り手はモノやサービスを所有することなく、カジュアルかつリーズナブルに利用することができる。

シェアリングエコノミー

resource:meridian-180

経済的なメリットも大きいシェアリングエコノミーだが、得ることができるのは金銭だけではない。数多くのシェアリングエコノミーサービスによって、これまでになかった人々の交流やつながりが生み出されている。経済的なやり取りから、人間的なやり取りへと発展するケースが多く見られるのは、人々が金銭報酬だけでなく感情報酬を大事にしているからだろう。

クラウドファンディングとは、クラウド(群衆)×ファンディング(資金の調達)を掛け合わせた造語であり、あるプロジェクトに対してインターネット経由で、不特定多数の人々から資金調達を行う方法である。代表例として、アメリカではKickstarter,Indiegogo,日本ではReadyfor,Campfire,Makuakeなど、数多くのサービスが立ち上がっている。

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resource: thenextweb

クラウドファンディングでは、様々なクリエイターがプロジェクトを立ち上げ、それに対するパトロン(資金提供者)を募っている。資金を投じてくれた人に対しては、成果物や特典など様々な対価が払われる。もちろん投資リターンが魅力的な場合もあるが、経済的なインセンティブが魅力的でない場合でも人々が投資するのには、そのプロジェクトや人を応援したい気持ちからきていることが多い。そしてプロジェクトの信頼度が高いほど、資金は集まりやすい。信頼を獲得すれば、お金がなくともお金を集めることができる時代なのだ。

ITの力によって、点在していた人たちがお金を介在してつながり、気持ちの交換をしている。物々交換をしていた時代のように、人々は経済活動を行うことで、コミュニティを強化する。歴史的にも中央集権的な機関に託していた信頼が、再び個々人へと回帰しているといえるかもしれない。

お金はテクノロジーによって、人々の気持ちを反映するメディアとして機能するようになっている。その先に、経済活動を通じて人々の思いが寄り集まり、大きな動きとなって社会を動かしていくようになれば、もっと世界は豊かになっていくだろう。

最後に、

世の中の99%の人は昔からある仕事をし、1%の人が新しいものを創る仕事をするという。一度しかない人生を思い切り楽しみ、エキサイティングなものにするために、世の中で起こっている変化に目を向け、その先の未来を創っていく担い手が一橋生の中から出てきてくれることを願う。

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