博報堂、Googleを辞めてなぜ起業したのか。freeeに集った一橋生の物語【第二話】

 一話では、博報堂、Googleというキャリアを経て起業した佐々木大輔さんと、官僚志望だったもののIT企業への就職を決めた杉田寿憲さんの学生時代のお話しを伺った。そこで佐々木さんは、代理店で働くなかで違和感を覚え始めたという。何が彼をGoogle、そして起業というキャリアに突き動かしたのか。

 

 全3回のインタビューのうち、この第2話では、博報堂、投資ファンド、Google等、佐々木さんが様々なキャリアを経験した上での考え方、そしてfreeeを創業された経緯に迫る。

 

freee代表取締役 佐々木大輔

一橋大学商学部卒業。将来の夢が美容師だった彼が、大学時代のインターンシップ、留学を通じて、ビジネスの世界に身を置くことになる。博報堂、Googleを経て、freeeを創業。Forbes社の日本の起業家ベスト10に選出。

ソフトウェアエンジニア 杉田寿憲

一橋大学社会学部卒業。官僚志望だった彼は、新卒でNTTデータに入社し、その後freeeに転職した。文系ながらエンジニアとして活躍している。

 

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ベンチャーから大企業は

高速道路から下道に出た気分

 

――川野「博報堂に勤めていらっしゃる際は、どのようなことを考えられたのでしょうか。」

 

佐々木さん「これまでスタートアップでインターン生でも確実に主要な一戦力だったのが、急に大企業の下っ端になって、『俺、何やってるんだろうな』と思うようになりました。車で高速道路を走っていて、急に下道に入ったら、車が止まっているように感じる感覚です。

また、当時の広告代理店のビジネスに関しても疑問を感じました。今は違うかもしれませんが、当時のテレビ広告はあまり考えなくても売れた時代で、派手に広告をしていれば売れていました。でも当時でもお客さんの方は少しずつ変わってきていて、広告の費用対効果を真剣に考え始めていました。僕は代理店側も、もっと真面目に分析したほうがいいのではないかと思っていて。これは学生時代スウェーデンに留学した際に、授業で費用対効果をひたすら計算するような練習をさせられていたのも大きな要因でした。ただ下っ端の僕の話は、会社側はあまり真剣に聞いてくれなかったので、これはちょっと違うな、と。」

 

 

――川野「ちょっと違うなと思われて、その後どうされたのでしょうか?」

 

佐々木さん「博報堂で2年間働いた後、費用対効果に関してもっと真面目に考えられる仕事はないかなと思い、投資ファンドに転職しました。」

 

――川野「投資ファンドでのお仕事はいかがでしたか?」

 

佐々木さん「とても面白かったですよ。今freeeで大きな資金調達ができているのは、当時投資の仕事に携わったことが効いていると思っています。ただ、仕事をどんどん進めていくうちに、日本は投資をする側よりも、投資をされる側の数が圧倒的に少なくアンバランスであることがわかってきました。だからこそ、投資をされる側に立ったほうが世の中的には意義があるし、そもそもそっちの方が面白そうだなと思うようになりました。そこで大学のときのインターンの仲間たちがやっていた会社にCFOとして入社することにしました。そこでは資金調達だったり、新しい事業の開発だったりを行っていました。」

 

――川野「その後Googleに転職されたんですよね。Googleでは何をされていたんですか?」

 

佐々木さん「はい。その後たまたまGoogleに入らないかということになって、Googleに入社しました。入社当初はデータ分析を用いて、日本でのGoogleの検索シェア向上に関する仕事をしていました。その後、中小企業向けのマーケティングを担当することになり、もっと直接的に中小企業のビジネスを伸ばす方法はないのかというテーマに取り組んでいました。やっていくうちに成果が出て来て、最初は日本だけを担当していたんですけど、その後アジア・パシフィック全体の責任者をやらせてもらって、中小企業にテクノロジーを広げていきました。中小企業の人たちは自分でGoogleに広告が出せるなんて知らなかったので、それを押し進めるのは社会的に意味もあるし、面白い仕事でしたね。」

 

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freee創業のきっかけ

 

――川野「その後freeeを創業されることになったと思うのですが、どういった経緯で創業されたのでしょうか?」

 

佐々木さん「Googleで中小企業のマーケティングをしていく中で、オンライン広告はこのまま伸びていくんだろうなということを感じました。その一方で、中小企業の経営の根幹の部分を何とかできないかなと思いました。例えば、コミュニケーション。日本の中小企業ではその当時FAXが使われていることがあったのですが、アメリカではFAXはスミソニアン歴史博物館に過去の遺物として飾られています(笑)。日本がFAXを未だに使っていることが、ニューヨーク・タイムズの記事にもなっていました。今で言えばアメリカと比べ、クラウドの普及が遅れていますよね。そういったアメリカと日本のギャップを目の当たりにして、日本でも小さいビジネスほど、新しいテクノロジーを駆使してかっこよく仕事をしているような社会を作れないかなと思うようになったんです。」

 

 

――川野「具体的には経営の根幹の問題を解消するために、どういう方法を取られたのでしょうか?」

 

佐々木さん「ベンチャー企業でCFOをやっていた時代の経験が大きかったのですが、ビジネスの立ち上げ期はいくらでも人が欲しい状態にもかかわらず、経理の人が入力作業に忙殺されていたんですね。これは非常にもったいないなと思いました。ただ、従来の会計ソフトだと入力作業が必要なんですね。そこで、新しい会計ソフトを作れば、入力作業をなくすことができると思いました。しかも、他に誰か同じようなことをやっているのかな?と調べてみても、誰もやってない。そもそも誰もやっていないこと自体おかしいんじゃないかと思って、自分で会計ソフトを作り始めました。やっていくうちに1人では出来なくなったため、一緒にやる仲間を見つけてfreeeを創業しました。

今では会計ソフトという枠組みを超えて、会社設立や給与計算までできるツールを提供しています。要するに、新しいビジネスが立ち上がるところから、成長するフェーズまで全てをサポートしています。今後も自動的に経営が出来てしまうツールをどんどん作っていきたいです。」

 

今回は佐々木さんが代理店からキャリアを始め、そしてどうfreeeの創業に至ったのか、その経緯に迫った。次回は、杉田さんがfreeeに転職された理由、そして佐々木さんが考える今後の世界、日本の変化、その変化に対するあるべきキャリアの歩み方に迫る。

 

第三話

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