「こういう世の中にしたい」から逆算してキャリアを考える。freeeに集った一橋生の物語【最終話】

 一話、  第二話では、佐々木さん、杉田さんの学生時代から、起業するに至った経緯を伺った。

 全3回のインタビューのうち、最終話の今回では、杉田さんのエンジニア挑戦の経緯、そしてどのように今後世界が変容するのか、そういった世界で一橋生はどのようなキャリアを歩めばよいのかに迫る。

 

freee代表取締役 佐々木大輔

一橋大学商学部卒業。将来の夢が美容師だった彼が、大学時代のインターンシップ、留学を通じて、freeeを創業。Forbes社の日本の起業家ベスト10に選出。

ソフトウェアエンジニア 杉田寿憲

一橋大学社会学部卒業。官僚志望だった彼は、新卒でNTTデータに入社し、その後freeeに転職した。文系ながらエンジニアとして活躍している。

 

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1からの挑戦

営業からエンジニアへ

――川野「杉田さんはなぜNTTデータから転職されたのですか?」

 

杉田さん「仕事に対して没頭する感覚がなかったからですかね。NTTデータでの最初の配属は営業でした。ただ個人的にはSIer(注:個別のサブシステムを集めて1つにまとめ上げ、それぞれの機能が正しく働くように完成させる「システムインテグレーション」を行なう企業のこと)は、実際に価値を届ける相手や実際のモノづくりの現場が遠くて、距離を感じてしまいました。そこで自分がやりたいことは本当にこれで大丈夫なのか? と思い始めました。

なので、社会人2年目から週末にプログラミングを教えてくれる学校に通い始めました。そこで自分たちでテーマを決め、チームを作り、プロダクトも作るという『リーン・スタートアップ』という名の企画があったんです。その企画では、飲み会の際の幹事向けの店予約システムを作りました。自分たちで企画して、ユーザーの声を聞きながら、ユーザーの抱える問題を解決する仕組みを“自分たちの手で”作るというのがものすごく面白くて。その経験から、経営者や挑戦する人を支える仕組みを作る中でも、僕は自分の手を動かしてそういった仕組みを作りたいと思うようになりました。そこで思い切って、営業という職種からエンジニアという業務の経験のない世界に挑戦しようと決断し、転職しました。」

 

 

――川野「経験のない職種で転職とは、ものすごい挑戦ですね。ではエンジニアでの転職の中でも数多ある企業の中でfreeeを選ばれたのですか?」

 

杉田さん大企業にいた際に、ムダなフローが多いな、これをやったからといって、世の中に価値を生み出せているのかなと思うことが多々ありました。そこで世の中のムダを削るような仕事がしたいと思い、それがfreeeの「スモールビジネスに携わるすべての人が、創造的な活動にフォーカスできるよう」というテーマと同じだったからです。あと、IVS(注:Infinity Ventures Summit。インターネット業界のトップレベルの経営者が一堂に会し、業界展望や経営に関して本気で議論する場)で佐々木の話を聞いたことです。佐々木が、学生時代のインターンのときに、日曜の夕方に出社して、土曜の朝に帰っていた。そして机の下で寝ていた。と、話していて。前職で仕事に没頭出来なかった自分としては、同じ大学の先輩にこれほどまでに仕事に没頭していた人がいたんだという衝撃を受けたんです。」

 

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世の中でインパクトを

残せる部分を狙え

 

――川野「なるほど。杉田さんが大企業で感じられ、解消したいと思っていたことと、freeeが目指す世界が同じだったんですね。それにしても佐々木さんのインターン時代の話はすごいですね(笑)佐々木さんは昔から何にでも没頭するようなタイプだったんですか?」

 

佐々木さん「いや、実は全然そんなことなくて(笑)。ものすごく飽きっぽいんですよ。例えばスポーツでもゲームでも、やっている人は世の中にはいっぱいいるわけで、自分が没頭したところで大して結果が出ずに、一流にはなれません。僕は大学入学時は、実家が美容院だったこともあり、将来美容師になるため、卒業後は美容学校に進学するつもりでした。でも、当時「ビューティフル・ライフ」というドラマでキムタクが美容師役を演じたんです。当時のキムタクって大人気で、彼が演じた職業が人気になるという社会現象まで起きていました。だから、僕は美容師になるのをやめました。

大学生のときにインターンをしていて気付いたのは、ビジネスとなると捉え方によっては、没頭したところで大して結果が出ないとういうことは必ずしもないということです。インターンをしてた当時、インターネットのマーケットリサーチ会社で分析について真剣に考えている人は日本に5人ぐらいしかいないレベルでした。もちろん研究者や、昔ながらの調査会社の人はいっぱいいるわけですが、圧倒的に調査プロジェクトを短期間で回すスピード感を持ちながら、なおかつしっかり考えている人はほとんどいないわけです。日本に5人ぐらいしかいないうちの1人だと、やっていてものすごく成果が出ます。ビジネスというのは自由演技で、捉え方次第で色々な成果が出るものだと大学時代に気づけたのは大きかったですね。実は会計ソフトの分野も同じで、30年ぐらい変化が起きていなかったんです。でも誰も他にやっていないからどんどん成果が出たんですね。世の中に目に見える形で、自分がインパクトを残しやすい所に打ち込むのが大事なんじゃないでしょうか。」

 

――川野「最近世間で、人間の仕事が人工知能に取って代わるという話を良く聞きますが、実際どうなんでしょうね? 世界、そして日本は今後どうなっていくとお考えでしょうか?」

 

佐々木さん「はい、第1話でクラフトビールの事例もあげたんですが、人工知能と感性の世の中に世界はなっていくでしょうね。徹底的に人工知能が、皆が良い選択ができるように機能し、自分のやりたいことだけをやっていれば全て他は人工知能が面倒をみてくれるみたいな世界が出来上がっていく。一方で、そうなると人間はやることが少なくなりますよね。だから、感性的な部分は手作りのものが増えるなど、よりきめ細やかになってり、よりマニアックになったりしていくでしょう。そのときに、これからの世界で人口知能側に立つのか、感性側に立つのかが重要で。例えば、日本だと今は感性的な部分が強いですよね。観光だとか食だとか。人工知能側に関して言うと、日本はソフトウェア産業がとても弱いので、僕は日本発の世界的なテクノロジーカンパニーを作りたいと思っています。」

 

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――川野:「なるほど。では最後に、お二人は一橋生はどのようなキャリアを歩むのがいいと思われますか? ぜひ、アドバイスをお願いします!」

 

杉田さん「今はスタートアップで働いていて、やりがいがあって没頭できることもあり、もう1度学生に戻ってキャリア選択ができるなら、最終的にはスタートアップで働きたいと思うでしょうね。でも、初めは大企業に入ると思います。今のスタートアップでの仕事はとても快適ですが、大企業ではそうではない部分がたくさん見えるので、それを見た上でスタートアップに来るのもいいのでしゃないでしょうか。そうするとスタートアップの良さもわかると思いますし。あとは、目の前のことに没頭するのも重要ですが、もしかしたら、自分のやりたいことは他にあるのかもしれません。だから、学生の間は何かを経験できる機会があればどんどん経験して、経験を元に色々判断すれば良いと思います。実際僕もそれでエンジニアに転職したわけですし。一橋生的にはエンジニアって理系職のようで難しそうに思うかもしれませんが、やってみたら実際そうでもなかったりするものですよ。

 

佐々木さん法律の条文読むより、プログラミングの方がよっぽど簡単だよ(笑)

 

杉田さん「そうですね(笑)」

 

佐々木さん10年、15年も経てば世の中のパラダイムは完全に変わっているということを意識すべきです。僕が大学1年生のときの就職人気ランキングの1位はカネボウだったのですが、その数年後には倒産しました。だから、世の中のパラダイムが変わらないと考えていること自体が最大のリスクなわけで。それに関わらず、周りの一橋生はなんで皆、保守的なキャリアを歩むんだろうなぁと当時から思っていました。自分が今、学生に戻れるならスタートアップに就職するなあ。

15年前はファーストキャリアは大企業じゃないとダメという雰囲気があったし、実際に雰囲気だけではなく転職市場の中でもそうだったんです。でも今は世の中の流れが変わってきていて、ファーストキャリアでスタートアップというのは全然あり。スタートアップで働くと、達成できることが大きかったり、自分が残したインパクトが見えやすかったりするよね。個人的には、大企業もいいと思うけど、大企業ってどちらかというと、世の中こういう風になるよね、だから自分たちはこう動こうっていう会社が多い。でも、一橋生には、世の中こういう風になるよねって予測する側、評論家になるのではなくて、世の中をこういう風にするんだ!っていう主体的な気持ちを持って働いて欲しい。そのためにもスタートアップが面白いんじゃないんでしょうか。」

 

 

 

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